Miskatonic Tales
ダイスを組み合せて、外なる神の復活を阻止せよ!
今回は、BGGの2022 9-card Nanogame PnP Design Contest参加作品「Miskatonic Tales」をご紹介します。タイトルからも分かる通り、クトゥルフテーマの1人用ダイスゲームで、作者はタイニー版エルダーサインをコンセプトに作ったみたいです。
プレイヤーは、カルト教団に入信して行方不明になってしまった妹を探す女優や、浮気調査をしていたら事件に巻き込まれてしまった私立探偵となって、外なる神を召喚しようとする信奉者たちの儀式を阻止すべく単身立ち向かいます。9枚のカードしかないゲームですが、ほんのわずかのテキストでも人物の背景を書いてくれていると没入感が全然違いますね。
ミッションカードが6枚、マップ、ステータス、外なる神がそれぞれ1枚ずつの構成で、16マスに区切られたマップには祭祀場やポータルが描かれています。プレイヤーは、毎ターン午前・午後・夕方の計3回ミッションを解決して、アイテムや手掛かりを入手して、移動したり信奉者を倒したりポータルを閉じていきます。夜には外なる神のコマが進み、信奉者がマップ上に増えてしまいます。ポータルを閉じて祭祀場の儀式を中止できればプレイヤーの勝利、外なる神のコマが最後まで進み、地上に召喚されてしまえば敗北です。
ミッションを解決するには、3色のダイス12個を振り、様々な組合せにして各ミッションに必要な複数の値にしなければなりません。アイテムを使用して出目を操作することもできます。このゲームの面白いところは、3色のダイスの構成です。キャラクターによって各色の数が違うのですが、ミッションには特定の色が必要なものもあり、また複数のダイスの値を組み合わせるには同じ色のダイスでなければなりません。これがとても効いてる!つまり、赤のダイスが少ないキャラクターの場合、赤のミッションが多いミッションは失敗の可能性が高くなり、必然的に他のミッションを選択した方が良いということになります。出目を操作できるアイテムを確保しつつ、自分に有利なミッションを解決していく、というのがゲームの流れです。
ミッション名も、血を抜かれた死体だとか下水道の抜け道、教授の手紙など、いかにもなやつで、要はダイスを振って数字を組み合わせるだけのゲームですが、キャラクターとミッションに少しフレーバーをのせるだけで雰囲気抜群のクトゥルフゲームに仕上げてるのは素晴らしいと思いました。良いゲーム!