TKDK PNP|プリントアンドプレイのボードゲームのブログ

ときどきプリントアンドプレイのボードゲームで遊びます。

Anzac Cove

f:id:game_suke:20200817221332j:image

日没までにダーダネルス海峡を見下ろす高地を奪取せよ!

今回は、第一次世界大戦の激戦地ガリポリでの上陸作戦に参加するオーストラリア軍の1日を描いた1人用のミニマムなウォーゲーム「Anzac Cove」をご紹介します。BGGの2019 Wargame Print and Play Contestの参加作品です。

ゲーム内容はシンプル。マップカードを7枚並べ、左端の海岸カードから侵攻して3ラウンド(夜明け、正午、夕暮れ)が終わるまでに、オスマン帝国軍を一掃して右端のマップカードを占領できれば勝利です。各ラウンド、自軍→敵軍→白兵戦の各フェイズを4ターン行います。毎ターン、何らかの効果が発動するカードを1枚出し、自軍フェイズでは3つのダイスを使用して、前進、砲撃、部隊の再編成のアクションのいずれかを実行します。ルールはシンプルなんですが、前進は移動したいコマ数に移動先のマップカードのコストを加算した値以上、砲撃と部隊の再編成は5の目以上と、各アクションとにかく良いダイス目が必要で、余程ダイス運に恵まれなければ日没のタイムリミットまでにゴールに辿り着くのは厳しいです。難易度が高すぎてゲームバランスは壊れてる気もしますが、それだけ激しい戦いだったということなんでしょうね。

このゲーム、特徴的なのが、プレイ中に日記という要素が組み込まれていることです。ゲームの勝敗には全く関係がないパートですが、毎ラウンドの最後に日記フェイズがあり、それまでの戦闘を実際に日記として書き残します(例えば誰々が負傷したとか、砲弾が雨のように降ってきたとか、または故郷の家族や恋人への手紙でも良いです)。他に同様の仕掛けがある作品を知らないですが、これ、ゲームで史実を体験する仕組みとしてかなり優秀なメカニズムじゃないかなと思いました。戦闘中に日記書くのかというのは置いておいて😓、一言二言書くだけでも没入感が全然違います。シンプルなゲームだけに、物語性はほぼ想像力に委ねられますが、それが装置としてよく機能している気がします。

不勉強で全く知らなかったので、この機会に少しだけガリポリの戦いのことを調べてみたら、このゲームは上陸した日のみで終わりますがその後のオーストラリア軍に待っていたのは地獄のような数ヶ月だったようですね...。作者は、このゲームを通してガリポリの戦いを知ってほしいという思いがあるようで、高難易度設定や日記パートの導入からもその意図が十分伝わってきます。ナラティブ要素のあるミニマムな1人用ウォーゲーム、是非遊んでみてください。

Anzac Cove

  • 人数:1人
  • 時間:15 - 30分
  • 年齢:10歳以上
  • 作者:Joe Schmidt
  • データ:カードルールBGG
  • 和訳:作りました→カード ルールBGG
  • 作り易さ:簡単(A4用紙 3枚、スリーブ 27枚)