Razorhurst
1927年のシドニーで実際に起こった殺人事件を捜査する、骨太ゲームブック!
昨年末のブログ記事で言及していた、英語モリモリのストーリーゲームのうちのひとつ、「Razorhurst」を遊んでみました*1。2020 Solitaire PnP Game Design Contestの参加作品で、デザイナーは以前にご紹介した「Black Sonata」のJohn Keanさん。1920年代のシドニーで実際に起こった殺人事件を捜査する、250ページものシナリオブック*2がある1人用推理ゲーム、というかゲームブックです。16歳以上推奨でプレイ時間は90〜180分!僕はのんびり何日か掛けてプレイしました。まぁでも、ゲームブックのプレイ時間って普段は意識しませんが結構な重ゲーをプレイするぐらいは時間かかりますよね。
隠されたパラグラフジャンプやアイテムがあるわけでもなく、ゲームブックとしてはシンプルな方だと思いますが、このゲームの魅力は、なんといっても実際の事件をそのまま落とし込んだことでしょう。容疑者の写真や地図はもちろんのこと、登場人物の台詞も実際の証言を元につくっているそうですよ。
プレイヤーは刑事となって、様々な場所で聴き込みや調査を行い検死審問までの1週間で事件を解決に導かなかればなりません。観察力、説得力、腕力の3つのパラメータがあり、場所を移動したり物語が進行すれば時間が進み、1時間ごとに決められたパラメータが減少していきます。また、調査を進めるために、あるパラメータの数字が必要な場合があり、現在のパラメータにダイスロールの数値を足して、成功すれば手がかりを入手できます。毎日、睡眠をとることでパラメータが復活しますが、睡眠時間によって回復の度合いが違ってくるので、深夜まであるいは早朝から捜査すると、パラメータ不足で思うように捜査ができなくなります。なので、手当たり次第にいろんな場所に行って人の話を聞くという総当たりの攻略はできず、今どこに行って誰と会うべきかというのを、しっかり考える必要があります。
謎解きとかは全くなく、とても地味に証拠を集めて容疑者を絞っていくだけですが、それが良いです!重要かどうかも分からない様々な証言をメモして、実際に顔写真を並べて関係性やアリバイを考えたりするのは、本当に調査をしているようで、アナログならではのかなり楽しいロールプレイングでした。まさに自分が海外ミステリーの登場人物になったみたいな感じです。英語の原文そのままではさっぱりのため、パラグラフごとにdeepLで変換しながらのプレイだったので、正確に物語を楽しめたかは怪しいですが...。そして、残念ながら僕は犯人は見抜けませんでした😞。軽くメモをとっている程度(いや、結構頑張ってメモはしたんですけど...)では、完全に事件の真相を理解するには程遠かったです。事件当日の詳細と本格的な指紋鑑定などでの容疑者の絞り込みが必要なので、我こそはという方はぜひ挑戦してほしいです。
本当に実際の事件を元にしてるのが信じられないぐらいの圧倒的なボリュームで、なぜこれがコンテストの参加作品なのかよく分からない。商業作品には難しい題材でしょうが、日本で、同じようにパブリックドメインになっている日本の昔の事件(そんなのあるのか知らないですけど😅)を題材にこんなゲーム作ってゲームマーケットで売れば、話題作になるのは間違いないのにな、と思いました。